インタネット衛星「きずな」とボイジャー2号の成果(2008/03/25)
 
 超高速インタネット衛星「きずな」の打上げが2008/02/23に行われて、無事成功した。
今後静止軌道に投入され、搭載された2基のマルチビームアンテナによる高周波電波(Ka帯)の
送受信が始まれば、日本全土とアジア主要10都市を155Mビットで結ぶことになり、離島や山間部
でも都市部の光ファイバ網を凌ぐサービスが可能となる。
 
一方、2008年3月号の「Newton」では、1977年に打ち上げられたボイジャー2号が太陽圏
(ヘリオスフェア)の終端衝撃波(ターミネーション・ショック)を2007年8月に通過したとのNASAの
発表をとりあげていた。
 
Newtonによる説明では、太陽系は星間を移動するので星間から吹き付ける星間ガスと太陽
からの太陽風が衝突する。太陽風が届く限界をヘリオポーズといい、太陽風と星間ガスとの
衝突によってヘリオポーズの内側に生じる衝撃波を終端衝撃波という。
 太陽圏の北に向かったボイジャー1号はボイジャー2号より速度が速く2004年12月に終端
衝撃波に到達しており、南に向かったボイジャー2号では2007年8月に終端衝撃波を通過している。

太陽系の最外縁の想像図とボイジャーの位置(提供:NASA/Walt Feimer)((2008/04/26図を追加)
 
ボイジャー1号と2号の向かった方向と速度差及び終端衝撃波への到達時間から太陽圏は南側が
つぶれていることが分かったとのことである。
 
 片や、最新技術を用いた衛星が情報通信における地域格差をカバーし実用的な成果が期待
される中、もう一方は30年以上前に打ち上げられた衛星で、LSI(大規模集積回路)が登場
したばかりの時代の古い工学技術ではあるが、140億km~150億km(93~100天文単位)という途方もない
距離から、太陽圏の境界付近の未知の情報を送ってきている。
ボイジャー2号は今後、2020年~2025年までは原子力電池が稼動するとのことなので新しい
発見があるかもしれない。
今回の「きずな」打上げ成功は、商業衛星打ち上げとして大変意義がある。その一方で科学探査
や宇宙探査について、日本としても長期的展望と目標の上に宇宙探査計画を進めてほしいと思う。
 
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