砂漠物語(2020/8/10)

アメリカ人とフランス人とロシア人の3人が不思議な砂漠に迷い込み、何でも願いをかなえてくれる
妖精に出会ったならということで話は始まる。

アメリカ人とフランス人とロシア人が広い砂漠を歩いていたら、不思議なビンを発見した。
ふたを開けてみると妖精が飛び出し、「1人3つ、何でも願いをかなえてやろう」と言うではないか。
するとアメリカ人は真っ先に手をあげ、「お金が欲しい。たくさん欲しい」と言った。
妖精は「よかろう。簡単な話だ」と答え、さらに「2つ目の願いは何だ?」と聞くと、
アメリカ人は「もっともっとお金を!」と願った。そして3つ目の願いを聞かれると、
「私を国に帰してください」と頼み、アメリカへと帰っていった。
続いてフランス人は「美人の女が欲しい」と言い、2つ目の願いも「もっと女が欲しい」と希望。
そして3つ目の願いで「私を国に帰してください」と頼んで帰って行った。
最後にロシア人の番になると、彼は「酒を持って来い! ロシアの酒!」と言い、さらに
「もっと酒をくれ」と2番目の願いを消費。最後の願い事を聞かれると、「あのアメリカ人とフランス人、
どこに行ったんだろう。2人をここに呼び戻してくれ」と言い、2人を砂漠へ連れ戻してしまった。

アメリカ人とフランス人は、やむなくロシア人と一緒に砂漠の中を歩き続けた。
しばらくすると3人は、さらに別のビンを発見した。開けてみると妖精が出てきて言う。
「私はさっきの妖精の弟子だ。まだ力は弱いが、1人2つ願いをかなえてやろう」。
アメリカ人とフランス人はよく考え、今度はロシア人に先に願いを言わせることにした。
そうすれば、もう前のように自分たちの邪魔をされる心配はないと思ったのだ。
するとロシア人は「酒を持って来い!」と言って酒を手に入れ、飲み干すと妖精に向かってこう言った。
「それじゃ、もういなくなっていいよ」。

アメリカ人とフランス人はふくれっ面をしながら、ロシア人と砂漠の中を歩き続けた。
そして3人は再び不思議なビンを見つけ、ふたを開けると妖精が出てきて言った。
「私はあの妖精の弟子の弟子だ。1人1つだけ、願いをかなえてやろう」。アメリカ人は慌てて言った。
「あのロシア人と二度と会わないで済むようにしてくれ」。フランス人も言った。
「私も、あのロシア人に二度と会いたくない」。「よかろう」と妖精が言い、願いは聞き入れられた。
最後に妖精がロシア人に願いを尋ねると、ロシア人はこう言った。
「さっきの2人の願い事、帳消しにしてくれ」。

アメリカ人とフランス人は憤慨しつつ、再び砂漠の中をロシア人と歩いて行った。
そしてもう一度不思議なビンを発見し、ふたを開けると妖精が出てきて言った。
「私はあの妖精の弟子の弟子の弟子だ。3人で1つだけ、願いをかなえてやろう」。
アメリカ人とフランス人は、同時に叫んだ。「あのロシア人の言いたいことを、全部帳消しにしてくれ」。
妖精は「よかろう」と答え、ロシア人に向かって「それで、お前が言いたいことは何だ?」と尋ねた。
するとロシア人は「あの2人をそれぞれ故郷に帰し、私に邪魔されることがないようにしてください」
と答えたのだった。

(ホーム)

inserted by FC2 system