光子ロケットの速度と質量比(2009/02/21)

 光子ロケットについては、

 ・超高速でロケットに衝突してくる小さなチリのような星間物質も恐るべき脅威となる

 ・動力として反物質と物質の対消滅の反応を利用するとしても、反物質を生成するには、ものすごい
  エネルギーをつぎ込まないとならない

 ・膨大な光子の輻射エネルギーにロケットの材質はたえられるのか

 など種々の問題があり、現時点では非現実的という見解が一般的である。
 
 様々な問題はあるが、ここでは、光子ロケットの力学の机上計算を楽しんでみよう。

 この光子ロケットについて、燃料となる反物質と物質の対消滅時のエネルギーのうち、推進に寄与する
 割合を α(0<α<1)とする。

 宇宙空間のある場所を出発時のロケットの初期質量を M0 とする。
 その後、ロケットが稼動して、質量 Mfuelの燃料を対消滅で消費し、ロケット系である時刻 τ に速度 v に
 達したとする。
 このとき、ロケットの質量は減少して、M になったとしよう。
 ここで、これらの質量 M0、Mfuel 及び M はロケットとともに運動をする系での静止質量である。 
 このとき
 
  Mfuel=M0-M  (1)

 燃料である物質と反物質は対消滅して、その質量の全てがエネルギーに変換される。
 従って、燃料の対消滅により発生するエネルギーEfuelは下記となる。
  Efuel=(M0-M)・C2 (2)

 条件より、消費したエネルギーEfuelのうち、αが推進エネルギー Epropellになるので
  Epropell=α・Efuel=α(M0-M)・C2 (3)

 特殊相対性理論によれば
 静止質量 M のロケットが速度 v に達したときの運動量 P は
  P=Mv/(1-v2/C2)0.5 (C:光速) (4)

 また、そのときのロケットのエネルギー Erocket は下記である。
  Erocket=MC2/(1-v2/C2)0.5 (5)

 時刻 τ におけるロケットの静止質量は M であり、ロケット系での静止エネルギーは E=MC2 である。
 これにロケットを推進させるエネルギー Epropellが与えられ、速度 vのときのエネルギー Erocketになる。

  Erocket=Epropell+MC2 (6)

 従って
  MC2/(1-v2/C2)0.5=α(M0-M)・C2+MC2

  ここでβ=v/C、ロケットの質量比A=M0/Mと置いて整理すれば、次式を得る。

  β=〔1-1/{α(A-1)+1}20.5 (7)


  では、ここで初期質量100000トンの光子ロケットが稼動後、95000トンまで質量が減った時点の
 速度を求めてみよう。消費した5000トンの燃料は、物質が2500トン、反物質2500トンとする。
 尚、燃料として対消滅で消費したエネルギーの50%(α=0.5)が推進に充てられたものとする。

 ロケットの質量比A=M0/M=100000/95000=1.053 なので、式(7)から

 β=〔1-1/{α(A-1)+1}20.5
     =〔1-1/{0.5・(1.053-1)+1}20.5=(1-1/1.02652)0.5=0.225

 すなわち、光速の22.5%に達することになる。

  燃料に反物質と物質を使用して、発生する対消滅のエネルギーで飛行する光子ロケットにおいて  燃料の消費によってロケットの質量が元の%の質量になり、  対消滅のエネルギーの%が推進エネルギーに使われたとき  
出発地点から観測した光子ロケットの速度は光速の
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